健康診断などで「心拍数」や「脈拍数」を測った経験がある人は多いのではないでしょうか?
本記事では,心拍数に重きをおきながら、脈拍数との違いはじめ数値の基準や気になる測定方法などをわかりやすく解説します。
心拍数と脈拍数って違うもの?
最初に、「心拍数」と「脈拍数」についての違いや特徴について項目別に解説していきます。
心拍数とは
私たちの心臓は、一定の時間内で拍動(周期的な収縮)を繰り返しますが、この回数が心拍数です。
脈拍数とは
一般的に手首や指先など体の抹消で計測するのが脈拍数です。計測時には、座った状態でリラックスして測るようにします。
心拍数=脈拍数ではない?
通常「心拍数」と「脈拍数」は一致しますが、必ずしも「イコール」の関係ではありません。
例えば、不整脈が発生すると、拍動が正確に動脈に伝わらない場合があり、数字が一致しないことがあります。
安静時心拍数と最大心拍数とは?
安静時心拍数は、リラックスして測った場合の心拍数です。
一方最大心拍数は、人間が1分間に発揮することができる心拍数のことで、その値は年齢によって基準値が設けられています。
心拍数の正常値をどう理解すればいい?
心拍数に関して、何が正常値で何が異常値なのかといった判断の基準が気になりますよね。
そんな疑問に対しては、日本人間ドック学会が設けている基準値が参考になるでしょう。
心拍数の正常値・異常値の判定区分
日本人間ドック学会の基準値によると、正常値と異常値の基準値が示されています。
項目 | 異常なし | 要再検査・生活改善 | 要精密検査・治療 |
心拍数(仰臥位)回/分 | 45-85 | 40-44 、86-99 | 39以下、100以上 |
*仰臥位(ぎょうがい):仰向けになって横たわる状態
安静時の心拍数の基準値|年齢別
次に安静時の心拍数の基準値について年齢別の数値を見てみましょう。
その数値が危惧される高齢者においては、その値は60〜70で、成人は70〜80、学童が80〜90、そして新生児に遡ると120〜140といった具合です。*数値の基準は(心拍数/分)
高齢者の心拍数の正常値の調べ方
高齢者の場合、心拍数は成人に比べて少なくなるとされています。
この章では、高齢者の心拍数について正常値についてや、バイタルチェックを行うことの重要性などを解説します。
高齢者の心拍数の正常値
高齢者の心拍数を知る上では、その数字が広く公表されている脈拍数が参考になるでしょう。ただし先の解説にもあったように不整脈の場合はこの限りではありません。
それによると、脈拍数の正常値は1分間あたり50〜70回とされており、その値は成人の正常値の60〜90回と比較すると、ややゆっくりであるといえます。
高齢者の安静時心拍数が少なくなる理由
その最も大きな理由は「基礎代謝基準値」です。
安静時心拍数は、年齢を重ね、50歳を過ぎたあたりから高齢者になるほど、その数字は少なくなります。
そして基礎代謝量も同じように低下していくのです。
高齢者はバイタルチェックを欠かさないこと
高齢者にとって、日々の心拍数を把握することが大切です。
そのためのバイタルチェックは、毎日欠かさず行うことが重要なのです。
【高齢者のバイタルチェックの項目と安静時の基準値】
一般的に65歳以上とされる高齢者のバイタル項目をチェックする上での目安となる安静時の正常値は以下のとおりです。
項目 | 安静時の基準値 |
体温 | 36〜37度前後 |
血圧 | 74歳未満:125mmhg(収縮期)/75mmhg(拡張期)
75歳以上:135mmhg(収縮期)/85mmhg(拡張期) |
心拍数(脈拍数) | 60〜70回/分 |
呼吸数 | 12〜28回/分 |
心拍数を調べるメリットって?
日々の心拍数を調べることで、自身の健康状態が把握できます。そしてそのことが運動強度の指標にもつながります。
日々の健康状態を確認できる
毎日の心拍数(脈拍数)を測ることは、心臓に関わる病気の予防にもつながります。
そして高齢者においては、健康状態の確認はなおさらでしょう。
脈拍が速くなる|頻脈の症状と原因
脈拍が早くなると頻脈を招きます。その症状として、動悸やめまいが起こりやすくなります。
また、冷や汗をかいたり吐き気を催すこともあり、注意が必要です。
原因としては、運動不足や食生活が考えられますが、普段の生活の中でのストレスなども一因となるでしょう。
脈拍が遅くなる|徐脈の症状と原因
脈拍が遅い場合には徐脈の疑いがあります。徐脈の場合には、血液を通して十分な栄養や酸素が送れなくなり、息切れや貧血の原因にもなるでしょう。
徐脈の原因としては、睡眠不足や甲状腺ホルモンの分泌不足などが考えられます。
運動強度の指標にできる
日本健康運動研究所によると、運動強度は「(220-年齢-安静時心拍数)x目標係数(40〜60%)+安静時心拍数」で計算できるとされています。
先の章にもあった安静時心拍数や、このような数字を基に自身の運動強度を求めることで、健康度の指標にしてみてはどうでしょうか。
心拍数を測定する4つの方法
心拍数を測定するには4つの方法があります。この章ではそれぜれについて詳しく解説いたします。
心電図や心拍計
最も正確な方法は、病院はじめ内科や循環器内科などの医療機関で心電図や心拍数を計測してもらうことです。
これらは、成人病の健康診断などの受診項目にも含まれているので、定期的に利用すると良いでしょう。
市販の血圧計・脈拍計
血圧計や脈拍計は市販のものを使用しながら自身で計測ができます。
参考までに、動脈血酸素飽和度を計測する「パルスオキシメーター」などは、脈拍数も計測できるので、利用すると良いでしょう。
ウェアラブルデバイス
Apple Watchやスマートウォッチなどの機能に「ウェアラブルデバイス」がありますが、これを利用すると、歩数や消費カロリーのほか心拍数などを計測できます。
手脈・検脈
これを知っておくと、デバイスや医療機器を使わなくても自身で脈拍数を測ることができるので、覚えておくとよいでしょう。
その方法が手脈・検脈です。その方法を説明します。
一般的な脈拍の測定方法・手順
手脈・検脈による脈拍の計測方法
- 机の上などに左手の手首を上にして出す
- 右手の人差し指・中指・薬指の3本を使って1で出した左手首の脈に当てる
- 脈拍数を数える(10秒間)
- 脈拍数x6で出た数字が1分間の脈拍数です
まとめ
本記事を読んだ人は、脈拍数を計測したり自身の脈拍を調べたりする方法がおおよそ理解できたのではないでしょうか。
自身で計測した脈拍が安静時よりも早かったり遅かったりした場合には、迷いなく医療機関で正確な診断を仰ぐことをおすすめします。
なによりも脈拍数を基本とした計測や診断は、健康状態のチェックなので、普段から自身の基準値を知った上で健康維持に努めていきましょう。