紙に書いたボールペンは消せるのでしょうか?
消せるボールペンとして特殊インクを使用する「フリクション」がある一方で、本記事では、本来は消すことを前提としていない一般的なボールペンのインクを消す方法についての特集です。
ボールペンのインクは、紙のみならず皮膚や布、そしてガラスなどに付着した場合にどのように消したらいいのでしょうか。水性・油性などインク別の対処方法についても詳しく解説していきます。
そもそもボールペンのインク汚れは簡単に取れない
ボールペンのインクは、消えないことに利点があることを前提としています。
このようなボールペンの特性をこの章では解説します。
そもそも消すことを前提としていない
鉛筆は消しゴムで消せますが、ボールペンは消えないことにメリットがある筆記用具です。
このことが、そもそもの前提なのです。
液性や素材によっては深くに染み込んでしまう
ボールペンに使用するインクは、油性と水性に大別されますが、布などのようにインクが深く染み込むような素材によっては、消すことが困難な場合があります。
ボールペン汚れが消せない場所や素材
ボールペンのインク汚れは、場所や素材によって消さない場合があります。
それでは一例をご覧ください。
- 紙
- 不織布
- 木製のもの
- レンガやコンクリートブロック
- 革製品
上記はいずれも基本的に消せない場所なのですが、専門店に持ち込んだり専用道具を用いたりすることで消せる場合があります。
必ず消える、薄くなるとは限らないと思っておこう
そもそも「書いても消えないボールペン」なので、本記事で紹介する方法は、あくまでも「消せる可能性のある方法」という認識で読んでください。
紙に書いたボールペンインクを消すには?
ボールペンを使うとき、最も使用頻度の高い媒体が紙ではないでしょうか。
この章では、そんな紙に書いたボールペンインクの消し方を解説します。
砂消しゴム
砂消しゴムは、ボールペンのインクを消すには最適の消しゴムでしょう。
その素材に「珪砂(けいしゃ)」を使うことで、多くのインクの成分である「黒鉛」を吸着します。
使用する時には、書かれた紙を傷つけないよう丁寧に擦ることがポイントとなるでしょう。
カッター
カッターを使用する場合は、書いたインクを削る作業になるため、ごくまれなケースとなるでしょう。
なぜなら、通常の薄い紙の場合は、削ると破れてしまい、厚紙の場合でもよほど慎重に行わないと紙自体を傷つけてしまうからです。
体についたボールペンインクを消すには?
ボールペンを使っていると、手や皮膚にインクが付着することがありますよね。
この章では、こんな時の対処方法について解説します。
この場合、ボールペンのインク別に見ていきます。
【ジェルボールペンや水性ボールペンの場合】
比較的取れやすいのが、ジェルボールペンや水性ボールペンでしょう。
この場合、石けんとぬるま湯を使うことがおすすめです。
石けんでインクのついたカ所を、温度調整のできる水道などで洗うと比較的簡単に落とすことができます。1回で難しい場合には数回に渡り繰り返すことできれいにインクが落ちます。
【油性ボールペンの場合】
油性ボールペンは、水性などと比べるとやや落ちが悪くなりますが、洗う方法はジェルボールペンや水性ボールペンの場合と同じです。
何回も繰り返すうち、やがて自然に落ちていくでしょう。
ハンドクリームで消す方法
リップクリームやハンドクリームの成分には「油分」が含まれています。
特に油性インクを落とすには、この油分を同化させることで消す効果が得られるでしょう。
同化させたあとは、ぬるま湯で流してみましょう。
消毒用エタノールで消す方法
この方法は、ボールペンのインクには有効ですが、手や皮膚に対しては注意が必要です。
特にインクの汚れがひどい場合、少量の消毒用エタノールで試してみて、その後は通常の石けんとぬるま湯で洗い流すことに留めておきましょう。
衣類などの布製品についたボールペンを消すには
最もインクの汚れが落としにくいのが、衣類や布にボールペンのインクが付着してしまった場合でしょう。
こんな場合、次のような方法を試してみてはいかがでしょうか。
布に染み込んでしまった場合はどうする?
インクが衣類や布に染み込んだ場合、インクの種類によって次のような対応が考えられます。
【ジェルボールペンや水性ボールペンの場合】
まず、衣類や布が水で洗えるかどうかを確認しましょう。
洗えるなら、洗濯用の洗剤を布にかけて軽くもみ洗いをします。それを水ですすぐ作業を繰り返してください。汚れが落ちるまで繰り返すことで薄くなるでしょう。
あとは、通常の洗濯をしておくと安心でしょう。
【油性ボールペンの場合】
この場合、消毒用エタノールと、汚れてもよい無地の布を2枚ほどにビニールシートを用意すると効率的です。
インクのついた衣類や布に消毒用エタノールをつけたら、次の手順でインクを落としましょう。
【消毒用エタノールや除光液で消す手順】
手順は以下の通りです。
- 用意した無地の布をビニールにのせる
- インクの付いた衣類や布を汚れた面を下にして、その上にのせる
- 上から消毒用エタノールを数滴たらす
- その上から用意した別の布をのせて軽くたたく
- 汚れたインクが下の布に移るのを確認したら、通常の洗濯へ
ガラス、プラスチックについたボールペンインクを消すには
ガラスや金属はじめプラスチックなどは、表面が衣類や布・紙とは異なり、比較的消しやすいといえるでしょう。
この章では、そんな素材を消す方法について解説します。
この場合も、インクの違いや手順についてみていきましょう。
【ジェルボールペンや水性ボールペンの場合】
この場合、水を含ませた布で軽くこすってみましょう。これでも落ちない時には、石けんや洗剤をつけてみるといいでしょう。
ほとんどの場合、この方法でインクの汚れが落ちますよ。
【油性ボールペンの場合】
インクの着き具合にもよりますが、通常の鉛筆で使うような消しゴムで消せる可能性があります。
この方法でも消えない場合は、消毒用エタノールで軽く拭き取ってみてください。
【消毒用エタノールや除光液で消す手順】
消毒用エタノールや除光液は、プラスチックに対しての相性があまり良くないので、使う際には少量で試してみる程度がいいでしょう。
そのことを手順に説明します。
まず布に消毒用エタノールまたは除光液を含ませ、軽く拭き取ってください。この際あまりやりすぎないよう注意が必要です。
壁紙やビニール、ホワイトボードについたボールペンを消す方法
この章では、壁面はじめビニールやホワイトボードなど、紙や布とは違った媒体にインクが付着した場合の消し方を解説します。
この場合も、インクの種類別に消し方を解説します。
ジェルボールペンや水性ボールペンの場合
ガラスやプラスチックなどの素材の特性とよく似た対処法ですが、まずは水を含ませた布で拭き取ってみてください。
それでも取れない場合は、洗剤または石けんをつけて軽く擦りましょう。
油性ボールペンの場合
まずは前章でも試してみたように、消しゴムで試してみましょう。
それでも消えない場合は、消毒用エタノールを含ませた布で拭き取ってください。
外出先などで衣類についたボールペンインクをすぐに何とかしたい場合
衣類にボールペンのインクが付着する時は、大抵予期しない時に起きるものです。
そんな時の応急処置について解説します。
応急処置で大切なことは、「直ちに取り掛かること」です。
それでは、インク別に処置方法を解説します。
ジェルボールペンや水性ボールペンの場合
この場合にも「直ちに取り掛かる」ことが大切です。
それでは手順を紹介します。
- ハンカチやティッシュに水を含ませ絞る。(市販の濡れティッシュでも可)
- インクで汚れた衣類の下に、ティッシュなどを充てる
- 濡らしておいたハンカチやティッシュで上から叩きながら充てる(ことのき擦らず充てる)
- 下に置いたティッシュに汚れが落ちるのを確認
- 持ち帰り、通常の洗濯をする
油性ボールペンの場合
油性ボールペンの場合のコツは、汚れたカ所を決して擦らず、つまむことです。
その上で、次の手順で処置しましょう。
- 乾いたハンカチかティッシュを用意する
- 汚れたカ所を丁寧につまんで汚れを移す
- 持ち帰り、通常の洗濯をする
ボールペンインクを消すときに意識したいこと
ボールペンのインクは、消すことを前提としていないため、紙に書き損じてしまったり、手や衣類に誤って汚れをつけてしまったりした場合には、決して慌てず処置しましょう。
その際のポイントは、インクが水性なのか油性なのかといった液性を確認した上で処置することです。液性によって措置方法が異なることは、本記事で解説した通りです。
そして、外出先などで衣類に汚れが付いた場合などは特に措置を「直ちに取り掛かる」ことでしょう。