干す手間がなく、お天気や湿度を気にせずに洗濯ができるドラム式洗濯機。家事を担う人にとっては、夢の家電のひとつといえるでしょう。ただ購入してから、「後悔した」「縦型に変えたい」という人がいるのも事実です。
本記事では、ドラム式洗濯機のデメリットやメリットを中心に解説しています。
ドラム式か縦型かで悩んでいる方、ぜひ参考にしてくださいね。
ドラム式洗濯機の特徴
ドラム式洗濯機は
ドラムを回転させて衣類を持ち上げ、水面に落下させる「たたき洗い」が特徴です。
縦型洗濯機は
底にある羽根を回転させて、水流で洗う「もみ洗い」が特徴です。一般には「全自動洗濯機」として販売されています。
軟水の日本では、洗剤がよく泡立ち洗浄効果を発揮できるため、縦型洗濯機が普及してきました。しかし近年は、時短効果やおしゃれなデザイン性などで、ドラム式も人気となっています。
ドラム式洗濯機のデメリット
まずは気になるデメリットからお伝えします。
以下、ひとつずつ解説していきます。
サイズが大きい
縦型洗濯機に比べ、ドラム式はサイズも重量も大きくなります。
古いマンションやアパートなどではドラム式の設置が想定されていないので、搬入ができない、設置できない可能性があります。
設置できても、蓋を開くための十分なスペースが確保できないなども考えられます。購入する前に採寸することが必要です。
本体価格・電気代が高い
縦型に比べて価格が高価です。
20~30万円が主流(縦型の約2倍)
また、乾燥まで行うと電気代がかかります。
最近は電気代があがっているので、乾燥を躊躇してしまう人も多いのではないでしょうか。
音や振動
縦型に比べ、振動が床に伝わりやすく、音もうるさいといわれます。
マンションやアパートなどで夜間に洗濯する方は、階下やお隣に迷惑にならないように気を付ける必要があります。
お手入れが面倒
縦型に比べると、日常のお手入れが面倒です。お手入れは洗濯のたび必要で、お手入れをしないと乾きにくくなったり、嫌な臭いの原因になります。
- 乾燥フィルター
- 排水フィルター
- 洗剤・柔軟剤投入口
- 窓パッキン
- 槽洗浄(月1回)
洗浄力が弱い
少ない水でたたき洗いするドラム式は、優しく洗浄してくれる分、泥汚れや頑固な汚れの洗浄力が弱めです。白い洗濯物が黒ずむともいわれます。
また少ない水で洗うため、色移りがしやすいようです。
近年は、泡洗浄や温水洗浄機能など、各社洗浄力を強化した商品も販売していて、洗浄力は縦型と変わらないともいわれます。
洗濯物のごわつき
たたき洗いにより洗濯物の繊維がつぶれてしまうので、自然乾燥をするとゴワゴワになってしまいます。
乾燥までセットで運転するとふんわり仕上がりますが、洗濯のみしたい人には向いていません。
素材によりシワになる
デニムやリネン素材などを乾燥させると、しわしわの仕上がりになってしまうことがあります。
生地が縮む
素材によっては、タンブラー乾燥ができないものがあります。また、たたき洗いの衝撃が向いていない素材もあります。
洗濯表示の見方については、別の記事で解説しています。参考にしてくださいね。
臭いが気になる
機種によっては、下水の臭いが上がってきてしまったり、乾燥の臭いが気になることがあります。
途中で洗濯物を追加で入れられない
機種によっては、途中で洗濯物が追加投入できないものがあります。乾燥までの時間が長いので、洗濯物を途中で入れられないのは意外と不便です。
エラーで停止することがある
縦型洗濯機でも、洗濯物が偏ってエラーが起きて止まってしまうことがありますが、ドラム式は縦型よりエラーが多いといわれます。
止まってしまうと、家にいない場合などは特に困ってしまいますよね。使い始めは、エラーがないかどうか在宅時に運転して、確認した方がよいでしょう。
子どもの事故が起きるケースがある
ドラム式は横向きに蓋がついているので、子どもが簡単に入ることができます。閉じ込められ死亡する事故も起きています。
子どもがいるご家庭、今後子どもを持ちたいという方、子どもが遊びに来るお宅の方は、チャイルドロック機能が必須です。
洗濯機パンや排水口の掃除がしにくい
サイズが大きく、洗濯機パンとの間に隙間がないので、洗濯機パンや排水口の掃除がしにくいことがあります。
排水口の掃除ができないと、つまりや悪臭の原因になります。
足腰に負担がかかる
ドラム式は、しゃがんで作業することが多いため、縦型式に比べ足腰への負担がかかります。
縦型に慣れている人は、かがんでの作業が意外と大変かもしれません。特に腰痛のある方は、購入は慎重にしましょう。
ドラム式洗濯機のメリット
もちろんドラム式には、メリットもたくさんあります。
以下、解説していきますね。
スタイリッシュでおしゃれ
ドラム式はスタイリッシュな外観で、上部にも物が置けるので、上から洗濯物を投入する縦型に比べ、洗濯機回りをおしゃれに演出することができます。
見た目のかっこよさから、ドラム式を選ぶという方も多いのではないでしょうか。
干す手間がない
乾燥機能を使えば、干す・取り込む手間が省け、家事の時短ができます。
乾燥までをボタン1つで終わらせることができるため、忙しい方には最適です。梅雨時や花粉の時期など、外干しができないシーズンでも気にすることなく洗濯ができるのは大きな魅力です。
水と洗剤を節約できる
少量の水でたたき洗いするため、ドラム式洗濯機は節水に効果的です。また洗剤も少なくてすむメリットがあります。
衣類が傷みにくい
洗濯時に衣類同士の摩擦が少ないため、縦型に比べ衣類が傷みにくいといわれます。縦型は衣類が絡まってしまうことが多くありますが、ドラム式は絡まりづらいのも傷みづらい要因のひとつです。
皮脂汚れに強い
少ない水量で洗うので、洗剤の濃度が高くなり、皮脂汚れに強いといわれます。
仕上がりがふんわりで、シワになりにくい
洗濯物を持ち上げて、空気を入れながら乾燥するため、ふんわり仕上がります。
素材によっては熱で縮んでしまうこともありますので、洗濯表示をよく確認しましょう。
毛布や布団も洗える
容量内であれば、自宅で毛布や布団などの大物も洗濯することができます。水分を含んで重くなった洗濯物を干す手間がなく、乾かないという心配からも解放されます。
コインランドリーで洗っていた方は、洗濯代を節約することができます。
プライバシー保護
外干しをしないので、家族構成などの個人情報を部外に知られるリスクがありません。一人暮らしの女性などにはおすすめです。
タイマー設定で楽々
洗濯物を入れてタイマー設定をしておけば、ほったらかしで洗濯が終了します。家事時間を減らしたい方には本当に助かります。
スマホ連動で、運転予約や予約時間の変更ができる機種も販売されています。帰宅時間に合わせてセットしておけば、シワになる前に取り出せるので便利ですよね。
ドラム式と縦型の比較
ドラム式(ヒートポンプ乾燥機能付)と縦型洗濯機の主な違いを表にまとめると、以下のようになります。
ドラム式 | 縦型 | |
洗い方 | たたき洗い | もみ洗い |
本体価格 | 高い(20~30万円) | 安い(10万円前後) |
サイズ | 大きい | 省スペース |
汚れ落ち | 皮脂汚れに強い | 泥汚れに強い |
水の使用量 | 少ない | 多い |
洗剤の使用料 | 少ない | 多い |
電気代 | 乾燥に電気代がかかる | 自然乾燥で電気代を節約 |
乾燥機能 | ふんわり | やや劣る※ |
衣類の状況 | 洗濯時傷みにくい | 洗濯時摩擦で傷む |
※縦型の乾燥方式はヒーター乾燥です。ドラム式のヒートポンプ乾燥に比べて電気代がかかり、仕上がりもあまりよくありません。
間違ったドラム式洗濯機選びをしないための注意点
ドラム式洗濯機の選び方のポイントを解説します。
家族の人数に合った容量を選ぶ
洗濯容量は10~12㎏、乾燥容量は6~7㎏などのサイズが販売されています。縦型に比べて容量の種類は少ないですが、家族の人数と洗濯頻度に応じて選びましょう。
1日の洗濯物の目安/1人1.5㎏前後
毎日洗濯/1.5㎏×3人=4.5㎏
2日に1回洗濯/1.5㎏×3人×2日=9㎏
洗濯容量より乾燥容量が少ない設定となっているので、乾燥容量も勘案して選びましょう。
乾燥方式を選ぶ
ドラム式洗濯機の乾燥方式には
- ヒーター式
- ヒートポンプ式
の2種類があります。
電気の力で、高温で洗濯物を乾かす方式です。電気を熱に変えるため電気代が高くなります。また高温になるため、衣類が傷みやすい欠点もあります。
空気中の熱エネルギーを利用して温風を発生させ、洗濯物を乾かす方式です。ヒーター式ほど高温にならないため、衣類へのダメージを少なくできるほか、電気代も節約できます。
購入時の本体価格は、ヒートポンプ式の方がヒーター式より高くなります。
洗剤自動投入機能
洗剤自動投入機能は、予め洗剤や柔軟剤を付属のタンクに入れておくと、毎回量る手間なく洗濯できる機能です。メーカーによっては、おしゃれ着用の洗剤にも対応しています。
自動投入機能付きは、タンクのお手入れが必要です。タンク容量やお手入れ頻度など、ご家庭にあったものを選びましょう。
ドラム式洗濯機を購入する際に気を付けたいこと
サイズの大きなドラム式洗濯機は、搬入・設置ができないことがあるので、注意が必要です。
本体サイズ(幅・奥行・高さ)+10㎝の空間が必要
サイズを測ってから、購入を決めましょう。
- 設置場所(洗濯機パンの内径)の広さ、洗濯機の蓋を開けた時、十分なスペースが確保できるか
- 水道の蛇口の位置(かさ上げ台設置も考慮する)
- 排水口の位置
- 玄関の幅・高さ
- エレベーターの扉の幅・高さ
- 階段の横幅・奥行・高さ(踊り場の横幅・奥行)
- 廊下の幅
- 搬入経路の障害物のチェック(照明・ドアノブ・手すり・ポストなど)
扉を右開き・左開きにするかを間違えると不都合(洗濯物が入れられないなど)が生じますので、購入時に必ず確認しましょう。
ドラム式洗濯機が向いてる人の特徴
最後に、ドラム式洗濯機が向いている人と、向いていない人をまとめます。ライフスタイルにより、何を優先したいかは人それぞれ。自分に合った洗濯機を選びましょう。
- 留守が多い
- お金がかかっても、家事の時短をしたい
- 毎回乾燥機を使いたい
- 洗濯機のお手入れが苦にならない
- 設置するスペースが確保できる
- 洗濯物を干すスペースがない、外干しができない
- 水道代を節約したい
- 洗濯物を外に干したい、干すのが好き
- 泥汚れが多い
- デリケートな衣類が多い
- 騒音・振動が気になる
- 手入れをするのが面倒
- 洗濯機を置くスペースがせまい
- 腰痛がある
- 電気代を節約したい
洗濯から乾燥までを運転すると、3時間くらいかかります(機種によります)。音や振動が気になる人や、洗濯物を分けて洗う人は、運転時間も考慮しましょう。
まとめ
ドラム式洗濯機のメリット・デメリットについて解説しました。
毎回乾燥機を使いたい方は、ヒートポンプ乾燥のドラム式がおすすめです。デメリットをたくさん紹介しましたが、「とにかく便利で、今まで買わなかったことを後悔した」との声も多いですよ。
高価な買い物ですので、実店舗へ行って疑問点を解決してから購入するのが、失敗しないためのポイントです。ご家庭に合った機種を選んで、ストレスなくお洗濯ができるとよいですね。