日本の春の風物詩といえば桜です。ところで、なぜ「さくら」と呼ばれるのか気になったことはありませんか。
本記事では、「さくら」の語源や、漢字の成り立ち、花見の歴史などを解説します。「桜」の漢字を使ったお名前についても考察します。ぜひ最後までお読みくださいね。
「さくら」の由来・語源は?
桜は、「バラ科サクラ属」の落葉広葉樹で、日本の国花です。さくらの語源には諸説ありますが、有力なものは以下の3説です。
- 日本神話に登場する「コノハナサクヤビメ(木花之開耶姫)※」の「サクヤ」に由来する
- 動詞「咲く」に、複数を意味する接尾語「ら」をつけて「さくら」という名詞となった
- 耕作を意味する古語「さ」・神霊を意味する「さ」に、神さまの居場所を意味する「御座(みくら)」の「くら」が合わさって「さくら」になった
※【コノハナサクヤビメとは】
「コノハナサクヤビメ」は、天照大神の孫にあたるニニギノミコト(邇邇芸命)の妻で、大変美しい神さまです。富士山本宮浅間大社をはじめ、日本各地の神社に祀られています。
富士の頂から、花の種をまいて花を咲かせたとされます。また、美しく短命で散ってしまったコノハナサクヤビメが、花期の短い花の代表・桜の語源になったとする説もあります。
「桜」の漢字の由来
サクラを意味する「桜」・旧字体「櫻」は、元は「ユスラウメ」を表す漢字でした。ユスラウメは、「バラ科サクラ属」の落葉低木の果樹で、サクランボに似た赤い実をつけます。
「嬰」の「貝二つ+女」は女性の首飾りを表していて、「櫻」は首飾りの玉のような実をつける「ユスラウメ」を意味するようになりました。
「櫻」の漢字の成り立ち
「櫻」は、「会意兼形声文字」という種類の漢字です。会意兼形声文字は、会意文字※と形成文字※※の特徴を併せ持つものをいいます。
「櫻」は
- 木を意味する「木」と「貝二つ+女」の会意文字
- 「オウ」の音を表する「嬰」
が組み合わさった漢字です。
「桜」の漢字を名前に使ってよい?
桜はパッと咲いてパッと散るイメージが強く、名前に使うのはどうなのかなと考えてしまう方もいるかもしれませんね。
散るといっても毎年咲くのですから、まったく気にする必要はないように思えます。実際、桜のつく名前は大人気です。
その理由には
- 日本人に最も愛されている花
- 五穀豊穣や繁栄のシンボル
- 合格通知や結婚式などでも使われる縁起がよい花
- 美しい
などがあげられるでしょう。
「皆に愛される美しい人に」といった親御さんの願いがこもった、名前にふさわしい字だといえますね。
「桜」の漢字を使った名前
名前ランキングでも「桜」の漢字は常連です。「明治安田生命名前ランキング2022」では、女の子に人気の漢字・13位に入っています。
安田生命名前ベスト100にランクインしたことがある「桜」の入った名前は、43もあります。
どの名前も本当に素敵ですね。お子様もきっと自分の名前を好きになってくれることでしょう。
お花見の歴史
お花見は日本人にとって、春に欠かせない行事となっていますが、いつ頃から行われていたのでしょうか。お花見の歴史について解説します。
お花見のはじまりは梅の花
奈良時代、遣唐使により中国から伝わった「梅」を貴族が鑑賞し、歌を詠んだことが始まりとされます。
「桜」を鑑賞するようになったのは、平安時代以降です。
花宴の節(かえんのせち)
武士に広まった鎌倉時代
鎌倉時代以降、お花見は武士にも広がりました。
宴会型のお花見は、豊臣秀吉の「醍醐の花見」からと言われています。
庶民に広まったのは江戸時代以降
農民の間では、五穀豊穣を願う祭事として花見が行われていたようですが、純粋に楽しむために庶民に花見が広まったのは、江戸時代以降です。
その後、桜の交配、品種改良も進み、花見は広く庶民に浸透していきました。
まとめ
桜の語源や、漢字の成り立ち、お花見の歴史などを解説しました。
語源や花見の歴史をたどってみると、桜が政治や文化、人びとの暮らしと密接に関わってきたことがわかります。桜をめぐる長い歴史に思いを巡らせながら鑑賞をするのも、たまにはよいのではないでしょうか。
これからも、先人から受け継いだ「桜を愛する心」を大切にしていきたいですね。