漏電とは?
漏電とは
「電気が本来の通り道を外れて、電気機器の金属ケースなどに漏れてしまう状態」(関西電気保安協会)
を指します。
本記事では、漏電の原因や対処法をお伝えします。
1. 漏電の調べ方|ブレーカーで確認する方法
皆さんは、自宅の分電盤がどこにあるか知っていますか。
分電盤のある場所はそれぞれ異なりますので、普段から分電盤の場所を意識しておきましょう。
分電盤の漏電ブレーカーを確認する
一般的な家庭ならば、台所や玄関の靴箱の上などに設置されていることが多いと思います。
分電盤には
「アンペアブレーカー」
「安全ブレーカー」
「漏電ブレーカー」
があるので、漏電ブレーカーを確認しましょう。
ブレーカーを使った漏電の調べ方
漏電ブレーカーには「漏電テストボタン」がついているのですが、そのボタンを押して正常な状態かどうか動作確認をしてください。
以下に手順を示しておきます。
- 分電盤の右側にある安全ブレーカーを全て「切」にする。
- 中央の漏電ブレーカーのつまみを下げる。
- 再び漏電ブレーカーを上げる。
- 安全ブレーカーも一つずつ「入」にする。
2. 漏電の調べ方|テスターで確認する方法
念には念を入れてテスターを用意して調べてみるのもよいと思いますが、結構費用がかかるので注意しましょう。
クランプメーターを使った漏電の調べ方
ブレーカーの各配線にクランプメーターをはさむ方法です。
漏電していれば、電流が計測されます。
クランプメーターによって微妙な電流も察知できるため、確実に漏電を感知できます。
メガーを使った漏電の調べ方
「絶縁抵抗計」(メガー)と呼ばれるテスターを使用する方法です。
電流・電圧・回路を測定できます。
手順は以下の通りです。
- メガーのアース線側をアース端子に接続する。
- 次に主幹ブレーカーを「OFF」にする。
- 分岐ブレーカーをすべて「ON」にする。
- 主幹ブレーカーの二次側にある3線に、リード線の指針をくっつけて測る
数値に異常があれば漏電しているということです。
3. 漏電の調べ方|業者に調査を依頼する方法
下手に素人が分電盤を触ると、感電する危険性もあるので、実はこの方法が一番お勧めです。
契約している電力会社か地域の電気保安協会へ
漏電の調査をお願いするときは、
- 契約している電力会社に連絡する。
- 住んでいるの地域の電気保安協会に連絡する。
先ほどのテスターは購入すると3万円ほどかかりますが、電力会社や電気保安協会にお願いすれば、漏電調査は多くは無料です。
修理が必要になったときだけ有料となり、電気工事業者に依頼することになります。
業者に依頼するときのポイント
一口に漏電と言っても、漏電の個所や規模によって大規模な作業になる場合もあります。
安易に修理を依頼せず、まずは複数の業者から見積もりをとりましょう。
見積額がわかれば、修理後に初めて費用がわかって慌てることもなくなります。
【費用の目安】
漏電調査を業者に依頼した場合の費用は6000円ほどですが、修理となるとまちまちで8000円から数万円になる場合もあります。
4. 漏電の原因とリスク
漏電の原因で多いのは電気の配線トラブルと家電製品の不良です。
家電や絶縁体の劣化
家庭で使用している電化製品は意外に寿命が短いんですよね。
メーカー推奨の耐用年数を守らないと、漏電の原因となることもありますので注意しましょう。
電力ケーブルは20年くらいの耐用年数がありますが、使用頻度が多いためそれほどは持たないと覚悟しておいたほうがいいです。
なお、家電やケーブルを水に濡らさないように十分に気をつけることも大切です。
小動物などが電線をかじる
飼っている犬がケーブルをかじっていた、などという経験ありませんか。
ペットやネズミに起因する漏電の報告が年間15件あるそうなので、ペットを飼っている家庭は、電力ケーブルにペットを近づけないようにしましょう。
住宅の劣化
結露や住居の屋根からの雨漏りで漏電することももちろんありますので、対策が必要です。
また、浴室やキッチンの水回りや排水管の不備も漏電の原因となりますので、注意しましょう。
塩害による漏電
水は電気を通しませんが、雨水や海水には不純物が含まれていますので、電気を通してしまい、漏電の原因となりえます。
沿岸部に住んでいる人は海水による塩害に注意しなくてはなりません。
漏電ブレーカーの故障
先ほど述べたように漏電ブレーカーには漏電の有無を調べるための漏電スイッチがついています。
漏電スイッチが正常に作動していれば電気を遮断しますが、故障していれば反応しません。
故障の場合は専門の電気工事業者に修理を依頼しましょう。
電気工事士による施工ミス
あまり考えられる原因ではないですが、念のために漏電の原因が塩害や雨漏りの場合は、電気工事士の中でも漏電対策に実績のある業者に依頼しましょう。
タコ足配線
タコ足配線が良くないことは結構知られているのですが、便利なのでやってしまいますよね。
ただ、コンセント一つの電流許容量は1500Wなので、それ以上の電流が流れると漏電の危険が生じます。
細い電線
発熱した電線の絶縁体が発熱によって形が変わり、漏電しやすくなります。
電線が細いと熱の影響を受けやすいのでなるべく太い電線に買い替えましょう。
漏電が招く危険性・リスクとは?
漏電くらい大したことはないと思うかもしれませんが、漏電によって感電すると命にかかわりますし、火事になればなおさらです。
感電
わずかな電流でも命にかかわる危険が生じます。厚生労働省の「職場の安全サイト」によれば、人体への影響を下記の表にまとめています。
電流値 人体への影響 0.5mA~1mA ・最小感知電流、「ピリッと」感じる、人体に危険性はない 5mA ・人体に悪影響を及ぼさない最大の許容電流値
・相応の痛みを感じる10~20mA ・離脱の限界(不随意電流)、筋肉の随意運動が不能に
・持続して筋肉の収縮が起こり、握った電線を離すことができなくなる50mA ・疲労、痛み、気絶、人体構造損傷の可能性
・心臓の律動異常の発生、呼吸器系等への影響
・心室細動電流の発生ともいわれ、心肺停止の可能性も100mA ・心室細動の発生、心肺停止、極めて危険な状態に
火災
コンセントの開口部あたりがホコリまみれになっていませんか。
とても危険なのですぐにほこりを取り除いてください。
ホコリが空気中の湿気を吸い込み、水分を吸収したホコリがコンセント内に取り込まれ漏電する危険性があります。
電気代が高くなる
漏電することで余計な電力を消費し、電気代も高くなります。
漏電で家電がダメになれば買い替え費用も痛い出費となります。
5. 漏電や感電のリスクを低減させるためにできること
アース線は正しく接続する
家電についているアース線って何のためにあるのか疑問に思ったことありませんか。
実は漏電を防ぐ大切な役割があります。
消費電力が大きい家電は必ずアース線を接続しましょう。
漏電ブレーカーをテストする
先ほど述べましたように、漏電ブレーカーが正常に作動しているかどうか、テストボタンで確認しましょう。
過度なタコ足配線はやめる
まず、タコ足配線をやめるのはすぐにでもできますので、便利でもすぐやめましょう。
6. 電気は目に見えない!漏電の調べ方や危険性、予防方法をきちんと理解しておこう
常に分電盤をチェックして、漏電ブレーカを確認しておくことが大切です。
あとはコンセントや電線ケーブルに異常がないかもチェックしておきましょう。
漏電対策は素人には無理なので、専門の電気工事業者に依頼しましょう。