大切な財産を守るために、貸金庫の利用を検討している方も多いのではないでしょうか。しかし、いざ銀行を調べ始めると、様々な種類の貸金庫があり、料金も様々で迷ってしまうことと思います。
そこで今回は、安い貸金庫料金を比較できるポイントと、上手な銀行選びのポイントを詳しくご紹介します。本記事のポイントを参考に、ご自身のニーズに合った最適な貸金庫を見つけて、大切な財産を安心安全に守りましょう。
貸金庫とは
「貸金庫」は、銀行や信用金庫などの金融機関が、金庫の貸し出しをするサービスです。
- 金融機関内に設置されているので安心・安全
- 開閉は本人のみで、プライバシーの確保できる(開閉には、入室カード・鍵・暗証番号などが必要)
- 出し入れ自由、出し入れの手数料は無料
- 通帳
- 印鑑
- 本人の確認ができるもの(運転免許証、マイナンバーカード、パスポートなど)
利用するには口座を開設していることが必要で、事前審査がある銀行もあります。設置されている数に限りがあり、空きがないときは利用できません。
貸金庫の種類
貸金庫には、以下のような種類があります。
- 全自動型
利用者が、専用の個室ブースなどで端末に暗証番号などを入力して利用するタイプ
銀行が営業していない土日でも、利用できる貸金庫もある - 半自動型
利用者が貸金庫室に入り、専用カード・暗証番号・鍵を使って保管箱を取り出すタイプ - 手動型
利用者と金融機関がそれぞれ鍵を持ち、金融機関立ち合いのもと利用するタイプ
金融機関や店舗により貸金庫のタイプが異なります。使いやすいタイプの貸金庫を借りるようにしましょう。
貸金庫に保管できるもの
貸金庫には、主に以下のものを保管することができます。
- 貴重品(宝石、絵画、貴金属・骨董品など)
- 重要書類(預金通帳、契約証書、権利証、有価証券、保険証券など)
- 印鑑
- 思い出の品(アルバム、ビデオテープ、DVD、日記など)
- 現金(現金は補償の対象外、利息がつかない、所得隠しの疑いをかけられるリスクも)
- 違法物品・危険物
- 食べ物・生き物
- 変質してしまうもの
現金は貸金庫に入れても利息がつかないうえ、盗難の際に補償の対象となりません。
現金は預金口座で管理するようにしましょう。(万が一銀行が破綻しても、預金保護制度により元本1,000万円までと利息等が保護されます)
遺言書は入れない方がいい
契約者が亡くなると貸金庫も凍結され、凍結解除には相続人全員の合意が必要になります。
相続の際に遺族がなるべく早く確認したい書類は、貸金庫での保管をしない方がよいケースもあります。
- 遺言書
- 保険証券(医療保険や生命保険など、給付金の請求に必要なもの)
自筆証書遺言が自宅等で安全に保管できない場合は、「法務局による自筆証書遺言書保管制度」や「公正証書遺言」を検討しましょう。
また、契約者本人が入院などで出し入れが難しくなり、家族が代わって保管品の出し入れしたい場合は、あらかじめ「代理人登録」の必要があります。
代理人登録には契約者本人の同席が必要ですので、契約者が元気なうちに手続きをするようにしましょう。
貸金庫の利用メリット
毎月の利用料がかかってしまいますが、貸金庫には主に以下のようなメリットがあります。
- セキュリティー
高度なセキュリティシステムが導入されているため、自宅保管より安心・安全 - 自然災害リスクの回避
地震や水害など自然災害が多い日本では、いざというときに大切なものの紛失や盗難のリスクが回避できる - プライバシーの確保
保管品の出し入れは借りた本人のみが行うため、家族に知られたくない書類などの保管ができる
- 利用料金がかかる
- 審査が必要な場合がある(貸金庫のニーズが高まっているため、一定の取引額の条件があるところが多い)
- 利用時間に制限(銀行が開いている時間のみが多い)
- 利用できるのは契約者のみ(契約者以外も利用する場合は、代理人登録が必要)
- 銀行が被災した時に利用できなくなるリスク
自然災害が多い日本では、様々なリスクが想定されます。安全に財産を管理するには、貸金庫に預けておくのは有効な方法です。
万が一被災したときに、大切な物を気にせず逃げ出せるメリットもあります。
貸金庫の料金
貸金庫の料金は、銀行やサイズにより異なります。利用料は年払い、月払いなどで口座引き落としとなります。
以下、主要都市銀行の利用料金をご紹介しますので、参考にしてください。
- 三井住友銀行
- 三菱UFJ銀行
- みずほ銀行
(表中の利用料金は税込みで、1ヶ月あたりの料金は、小数点以下切り捨てで計算しています)
三井住友銀行
三井住友銀行貸金庫のサイズと料金の一例は、以下のとおりです。
高さ | 幅 | 奥行 | 利用料金(6か月) | 1ヶ月あたり |
6.5cm | 28.0cm | 52.5cm | 11,000円 | 1,833円 |
8.5cm | 28.5cm | 53.5cm | 14,850円 | 2,475円 |
14.0cm | 28.0cm | 53.0cm | 23,100円 | 3,850円 |
- 簡易貸金庫/15,400円(6カ月)
- セーフティケース/11,550円(6カ月)
三菱UFJ銀行
三菱UFJ銀行貸金庫のサイズと料金の一例は、以下のとおりです。
高さ | 幅 | 奥行 | 利用料金(年間) | 1ヶ月あたり |
5.7cm | 26.2cm | 40.0cm | 16,170円 | 1,347円 |
6.2cm | 27.7cm | 49.3cm | 22,440円 | 1,870円 |
8.7cm | 27.7cm | 49.3cm | 29,700円 | 2,475円 |
みずほ銀行
みずほ銀行貸金庫のサイズと料金の一例は、以下のとおりです。
高さ | 幅 | 奥行 | 利用料金(年間) | 1ヶ月あたり |
6.5㎝ | 24.5㎝ | 54.0㎝ | 21,780円 | 1,815円 |
貸金庫の上手な選び方
貸金庫は、以下の点に注意して選ぶようにしましょう。
- 料金
複数の金融機関(都市銀行・地方銀行・信用金庫・JAなど)の料金を比較検討 - サイズ
大きすぎると利用料金がもったいないので、適切なサイズを選ぶ - 貸金庫のタイプ
全自動貸金庫は、土日でも利用可能できる銀行もある - 行きやすさ
アクセスのよさ、駐車場の有無、移動コスト、周辺の治安などをチェック - 利用可能時間、曜日
平日に利用できない人は、よく検討する - セキュリティ、安全性
24時間監視体制、最新の認証ステムの導入、耐火性能、災害時の対策、口コミなど - 予約の必要性
人気のある貸金庫は、利用に待ち時間が生じることもある - 盗難や災害時の保険適用範囲
貸金庫は、銀行や店舗によりサービスが異なりますので、複数の金融機関で比較検討することをおすすめします。
民間貸金庫
金融機関以外にも、民間の貸金庫があります。銀行以上のセキュリティシステムを導入している会社もあり、安心して利用することができます。
銀行のような事前審査はなく、誰でも簡単に借りられるのもメリットです。銀行の貸金庫の選び方とも共通しますが、以下の点に注意して借りるようにしましょう。
- 高レベルのセキュリティシステム(生体認証など)を導入しているか
- サイズ
- 利用料金(銀行より高いサービスも多い)
- 立地(アクセスしやすい場所か、治安・地理的条件など)
- 利用時間(24時間、365日利用できるサービスも)
- 口コミ・信頼性
- 保険適用範囲や補償内容
貸金庫の利用料や、すぐに取り出せない不便さが気になる方は、「防盗金庫」に入れて自宅で保管する方法もあります。耐火・耐水・防盗機能、ロックの仕方、重量など用途に合わせて選びましょう。
まとめ
貸金庫のメリットや料金について解説しました。
貸金庫は重要書類や貴金属、思い出の品などを安全に保管するのに有効です。金融機関によりサイズや利用料金が異なりますので、預けるものを厳選したうえで、適切な貸金庫を選んでくださいね。
相続に関連する書類を貸金庫に入れてしまうと、相続が発生した際に確認ができず困ることがありますので、注意しましょう。