一見して数の子を思わせるビジュアルの子持ち昆布ですが、そもそも子持ち昆布ってどのような食べ物なのでしょうか?
本記事では、子持ち昆布のおいしい食べ方や保全方法など、子持ち昆布にまつわる気になる情報を解説しますので、ぜひ最後まで読んでみてください。
子持ち昆布とは?
「昆布」と名のつく子持ち昆布ですが、この章では子持ち昆布の基本を解説します。
つぶつぶの卵の親はニシンです。ニシンが昆布に産みつけた卵が子持ち昆布なのです。
【子孫繁栄の縁起物】
子持ち昆布は、ニシンが昆布に産みつけた大量の卵にちなんで、古くから「子孫繁栄の縁起物」として重宝されてきました。
子持ち昆布と数の子の違い
数の子の場合は、ニシンから産む前の卵を取り出して塩漬けしたものです。
一方の子持ち昆布はというと、ニシンが昆布に産みつけた卵を塩漬けにしており、この違いはニシンが卵を産む前か後かということでしょう。
子持ち昆布の特徴
シャキシャキとした食感が特徴の子持ち昆布は、その味わいや栄養面に魅力があります。
それでは、具体的にみていきましょう。
子持ち昆布の味わいと食感
子持ち昆布は、塩漬けや味付けがされているので、そのまま食べてもシャキシャキした食感が楽しめます。
子持ち昆布の栄養価
子持ち昆布にはエネルギーをはじめ、カラダに必要なタンパク質や食物繊維、カルシウムなどの栄養成分が豊富に含まれています。
また、青魚に多く含まれているDHAやEPAといった脂肪酸の含有率も高く、栄養面が優れた食材といえるでしょう。
子持ち昆布の塩抜き方法
塩漬けされた子持ち昆布は塩蔵されているので、そのままいただくと塩分が強すぎます。このときには塩抜きが必要です。
*塩蔵:サケなどの魚を塩漬けにして保存すること
塩抜きの手順を紹介します。
<子持ち昆布の塩抜きの手順>
- ボウルに水をはり、塩を少々入れる(浸透脱水作用を利用するため)
- 30分〜1時間ほど子持ち昆布を入れておく
- ほどよい塩辛さを確認して完了
【水に浸しすぎると味が落ちる】
塩抜き作業には、30〜1時間をめどにしますが、浸しすぎると味が落ちてしまいます。
適度に味見をしながら塩抜きをしましょう。
子持ち昆布のおすすめの食べ方
子持ち昆布は、そのままでも食べられますが、タレを付けたり具材としていただくと、さらにおいしさが引き立つでしょう。
タレをつけて食べる
購入した子持ち昆布の塩抜きが終わったら、好みのタレをつけていただきましょう。
タレは、めんつゆをはじめ、かつおだしにしょうゆを付け足したり、ドレッシングやオリーブオイルなど、個人の好みに応じてオリジナルのタレで子持ち昆布をおいしくいただきましょう。
具材にして食べる
子持ち昆布を具材にするアイデアとして、にぎりすしに乗せたりサラダに入れたり、あるいはパスタに混ぜたりすると、シャキシャキした食感がより広範囲に楽しめます。
子持ち昆布の保存方法
店頭や通販で市販されている子持ち昆布は、冷蔵や冷凍といった保存方法で販売されています。
それぞれの状況に応じた保存方法について解説します。
子持ち昆布の冷蔵保存方法
冷蔵品の場合は、子持ち昆布の卵が固まっていないので、基本的には-10°C以下の状態で冷蔵庫に保存できます。
ただし、商品に記載されている賞味期限には注意が必要です。
子持ち昆布の冷凍保存方法と解凍方法
冷凍品の場合には、-15°C以下の冷凍庫で保存するといいでしょう。
食べる前にはあらかじめ冷蔵庫に移しておくことで自然解凍するのが基本ですが、流水でも自然解凍ができます。
冷凍品の子持ち昆布は、いったん解凍したら再冷凍はNGです。その日のうちに食べましょう。
子持ち昆布のおすすめ商品
ここからは、子持ち昆布の市販で購入できる商品の紹介です。
一般的に、スーパーなどでは年末のおせちコーナーで見受けられますが、年間を通してのレギュラー展開はされていないため、通販やECサイトで購入するといいでしょう。
井原水産「味付子持ち昆布」
この子持ち昆布は、ライセンス生産により技術の優れた漁師が取り扱う限られた商品です。
これは上品な白しょうゆで味付けされた逸品ものといえるでしょう。
冷凍商品扱いのため、賞味期限も約1年と長いのが特徴です。
吉粋「子持ち昆布」
吉粋オリジナルのタレに漬け込んだ子持ち昆布は、冷凍で販売されています。
購入後は、-18°C以下で冷凍保存または、冷蔵保存する場合は-10°C以下で7日間が基本です。
メーカーおすすめの解凍方法は、自然解凍ほか冷蔵解凍、流水解凍としています。
中外フーズ「築地丸中 味付け両面子持ち昆布」
天然物ならではの昆布の歯応えと、昆布の両面についたニシンの卵はプチプチの食感が楽しめる逸品です。
冷凍販売のため、解凍後は早めにいただきましょう。
子持ち昆布のQ&A
子持ち昆布をもっとよく知るために、作り方や産地などよくある質問をまとめてみました。
子持ち昆布の製造方法
子持ち昆布はニシンの卵を昆布に付けて作られます。
地域による違いがありますが、おおよそ1月から6月下旬までの間、ニシンは産卵期を迎え、沿岸の浅瀬に卵を産みつけます。
その際、ニシンの通り道に昆布を仕込んでおくことで、ニシンの産卵を待ちます。
昆布への産卵が適度に完成したら、数日間寝かして塩漬けします。その後は製造元によって独自の味付けが施されます。
子持ち昆布の産地
現在の主な産地は、アラスカやカナダのブリティッシュコロンビアが挙げられます。
かつては北海道の石狩湾あたりでニシンの産卵が盛んでしたが、近年には減少しているのが現状でしょう。
子持ち昆布と数の子の違い
子持ち昆布も数の子も、ともにニシンの卵から作られるという共通点がありますが、前者はニシンが産みつけた昆布から作られ、後者は雌のニシンから卵を取り出して作られます。
これが明確な違いでしょう。
まとめ
子持ち昆布は、古くから「子孫繁栄の縁起物」とされ、お正月のおせち料理などには欠かせない食材として重宝されてきました。
その製造過程では、ニシンの卵と昆布とのマッチングによって作られ、塩漬けや味付けを経て私たちの食卓に届けられます。
食卓に届いた子持ち昆布は、冷凍・冷蔵それぞれに適した方法で保存したら、本記事で紹介したような解凍方法で解凍して、お正月料理に限らずサラダやパスタの具材としておいしくいただきましょう。